「明清紀」(Ming-Qing period)以来の大陸の小説集の影響をうけつつの文章構成と、「前絵本紀」(Lower Ehon period)や「新著聞紀」(Upper Chomon period)に発達した説話の要素を多く受け、明治の中頃(Kaika period)に出版された『夜窓鬼談』(1889・1894)に収録されているおはなしにはどんなものがあるかという一覧表です。
備考に「●」をつけたものは新日本古典文学大系明治編『漢文小説集』(2005)に収録(読み下し+原文)されているおはなしです。(原文がページの関係でたまたま全文載っていたものには「◎」をつけました)全篇は小倉斉・高柴慎治の『夜窓鬼談』(2003)にて現代語に訳されたものならば読むことが出来ます。
標題 | どんなおはなし | 備考 |
上巻 | ||
鬼字解 | 「鬼」とは何か「鬼」とつくもの・ことばいろいろ | |
哭鬼 | 鬼がやって来て教育や勉強の世界のうつろいを思って泣く | |
笑鬼 | 老人達が各地(地球規模)に旅行したいと話してると鬼が笑う | |
瞰鬼 | 三階建のよい家を建てた一家が瞰鬼に入られ離散の運命 | |
貧乏神 | 貧乏神にうつり住まれた家が破産してつぶれる | |
七福神 | 七福神が夢に現われてこころがけをさとす | |
花神 | 平春香が桜の精と出逢い後年に精とそっくりな娘・華と結ばれる | ● |
奇縁 | 林という浪人と珠という材木屋の娘のはなし | |
雷公 | 水戸の鉄先生が雷神の車に乗せられ「為雷公」の辞令を貰う | ● |
風伯 | 風神が自分の暴風でたべもの屋や酒屋が休業してて困る | |
売醴女 | 狐の化けた甘酒屋さんに化かされる | |
古寺怪 | 信濃の村芝居に来た俳優が泊まった荒れ寺でのおばけ騒動 | |
蛇妖 | 人妻と大蛇・金子の蛇・怨霊の蛇・道成寺の瓶(これだけ笑話) | |
竈怪 | 幽霊の宿ってる竈に塗り込められてた金を寺へ納めて供養 | |
鬼児 | 金をねこばばして利を得た男の家に報いが起こる | |
祈得金 | 遠江の無間山でカネオクレ祈願の男が狐に化かされる | |
客舎見鬼 | 吉原のある旅籠に出た女幽霊 | |
画美人 | 藤子華右衛門と唐渡りの美人画のランデブー | ● |
天狗説 | 天狗とはいろいろ | |
大原維蓮 | 維連は天狗にさらわれたがずっと経をとなえてた | |
仲兼刺怪 | 牛車の後ろをついてきた怪しい巨僧を退治した | |
仲俊斃死 | 水無瀬山の怪火の正体は獣であった | |
興福寺僧 | 天狗道に堕ちた先師たちを見た | |
奇篭 | 山で天狗に魚をあげたお礼にふしぎな篭に入った魚を貰った | |
毛脚 | 脚が剛毛ムキムキな化け物の化けた娘・茶店にギャー | |
山[操-てへん+月] | 木曽のさとりのはなし | ◎ |
羅漢 | 羽黒のある無住の荒れ寺は羅漢像が動き出す | ● |
奇陶 | 狐の巣の土を取って使ったバチがあたり狐にだまされる | |
孤児識父 | お父さんが誰かわからなかった子が父を言い当てる | |
源九郎 | 医者が源九郎狐の若君の治療にゆく | |
狐誑酒肆 | お茶屋で狐に化かされることいろいろ | ● |
冥府 | 田直生冥府へゆく | |
怨魂借体 | 長尾杏生とお貞(芸者・故人)とお貞(旅宿の下女) | ● |
河童 | 河童が切られた腕を返してもらいに頼み込む | |
一目寺 | なぞの隻眼山一目寺は何もかもが隻眼 | |
高秀才 | 昌平のある秀才が小野篁の霊にさとされる | |
轆轤首 | 時の鐘の家の娘が轆轤首・三河のある轆轤首は不器量だった | |
大入道 | 三ッ目入道におどかされたり一ッ目入道に出遭ったり | |
驚狸 | 目黒の行人坂に酒買い小僧 | |
鉄蕉精 | 妙国寺の大蘇鉄は帰りたいよと泣きました | |
髑髏 | 酔っぱらいが髑髏の中で雨宿りする | |
牡丹灯 | 『怪談牡丹灯篭』がモト | |
狸怪 | 東海道で化かされて | |
宗像神祀 | どんどんおおきくなる不思議な石がご神体 | |
続黄梁 | 呑海楼でみてたながいながい夢 | |
鬼神論 上 | 鬼神と人間の世は異なる・世に何かを以て示すのが鬼神 | ● |
鬼神論 下 | 鬼神とはわからぬもの・李君神や鮑君神みたいなのもある | |
下巻 | ||
神卜先生 | うらないとは | |
役小角 | 一言主とたたかったり讒言されて流されたり | |
安倍晴明 | 瓜の中にあやしきものがあります | |
葛葉 | 恋しくば訪ね来てみよ | |
果心居士 | ふしぎな幻術縦横自在 | ● |
狸技 | 変な女にみちびかれ変なお寺で化かされた | |
縊鬼 | 蒲生君平が縊鬼となった女をさとす | |
阿絹蘇生 | 浪速の商人の娘お絹とその恋人・国蔵のはなし | ● |
岩淵右内 | 狐をたすけた恩返し | |
友雅 | 友雅という旦那から金を奪った女のはなし(死人ないのに幽霊) | |
累女 | 鬼怒川の累 | |
比翼塚 | 白井権八×小紫 | |
茨城智雄 | 女を助けて女装して官軍から逃げ狒退治そして女にまた出逢う | ● |
象 | 象はごはんが唯一のたのしみ | |
義猫 | 猫が小判をくわえて来た | |
洋狗 | 犬の嗅覚で犯人がわかった | ◎ |
秦吉了 | 市川左団次が九官鳥を飼ったときのひと騒ぎ | ● |
蟻城 | 蟻王の世界 | ● |
小人 | 鼠が小さな武者に化けて酒の肴をひいてゆく | |
滝蔵 | 天狗にさらわれ江戸から薩摩 | |
藤生救雀 | すずめをたすけた藤三郎 | |
飛鼎 | 疱瘡でみっちゃになったお清(累に似た話)飛鼎は後日談 | ● |
熊人 | 師匠のお妾と密通した鶴澤梅吉は大蛇の毒気で黒コゲに | |
霊魂再来 | 筑前の左内さんは死後の世界を霊から聞きたい | |
礼甫 | 礼甫がうけた狐の恩返し | |
変成男子 | おつなさんはある日とつぜん男に変形 | |
酔石生 | 石を集めまくっている酔石さん、破産を石の精に助けられる | |
染女 | お染のひとめぼれの相手は人ではなかった | |
千葉某 | 摂津の千葉さんは鬼談が大好きある日ほんとに鬼が来る | |
飛鶻庵 | 飛鶻庵は桶狭間で鬼を瓢箪にとじこめ退治した | |
保全法奇験 | 山田清助と守田宝丹のおやじ | |
靄厓花卉 | 靄厓の描いた花の絵は巧いか下手か | |
狸陰嚢 | 化ける獣の集会にたまたま混じった男、狸の陰嚢を得るが | |
阿菊 | 皿屋敷のお菊さんは雨の日じゃないとお勤めをしない | |
偽情死 | お互いにうらのあった嘘の心中 | |
鼈成仏 | 釣った鼈は島屋の番頭の霊だった供養をしたら天の後門番に | |
阿岩 | ミセスお岩 | |
文弥 | 文弥の怨霊は鼻で相手をさがしだす | |
患歯 | いたむ歯を抜いてもらうが値下げ交渉で妙なことに | |
阿虎 | 虎御前は石になっちゃったので極楽で曽我十郎と逢えずじまい | |
阿多摩池 | あたまに桜が生えてきて | |
混沌子 | 混沌子と無極道人の語る大地球未来記 |