『画図百器徒然袋』のふたつめの序文は神田庵老人によるものが掲載されています。後期の後摺りにはこれが省かれていることがあるようです。
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▼金鈎に化せる鳩
鳩が鈎[こう]になったということがらは『蒙求』の「張氏銅鈎」にあるもの。鳩がふところに飛び込んで来たと思ったら鈎(銅鈎・銅鉤)に変わっており、運がひらけたというふしぎなはなし。
▼筆に化せる鹿
鹿の毛が筆の材料に用いられていることを踏まえたものだと見られます。
▼洒落せる百鬼夜行
石燕による『画図百鬼夜行』(1776)からつづく作品に対して「洒落せる」という評が出ていることは、良くおぼえておきたい点です。
▼今年又まめやかに筆をとりて
百器徒然袋の執筆年代を考える上で参考になる記載箇所です。1783年に出版のための改めを受けていることを考えると、ここでの今年は1783年であることが推測出来ます。
▼器鬼に化す
器物たちが鬼に化ける。今作の題名が「百鬼」ではなく「百器」であることも示しています。百器徒然袋のおもな題材が『百鬼夜行絵巻』だったことを示したもの。付喪神という単語が用いられていないことにも注意しておきたい箇所です。
▼一字返音
「鬼」を「器」と替えた題名の趣向をさしたものかと考えられます。ふつうであれば「二字返音」ということのほうが多いようです。「二字返音」というのは「花」の音を「なは」と引っくり返して「縄」に変えて詠んだりする技法のこと。
▼柴折して
柴折は「しおり」のこと。
▼月窓
石燕の号のひとつ。
up.2026.05.11
