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『大佐用』

あつまれ妖怪絵巻

「後絵巻紀」以後「近代」に至るまで数多く描かれてきた、大部分が画像細胞を多くもった妖怪たちによる構成の絵巻物(およびその周辺資料)にどのようなものがあるかをまとめたものです。確認次第増補して参ります。

画像が紹介・収録されている書籍、図録などは適宜追加。

2020年01月15日、大幅補綴。見出しイラストもつけました。

題名・年代作者仲間おさめてる
付喪 数珠の阿闍梨 付喪【つくも】

付喪神たちが悪行をし最後は成仏する内容
奥付に、寛文六年……頼業の表記とある写本が多く確認されている
土佐家のものなどに較べると、こちらは祭礼行列の描写が在るほか道具が化けたものであることを明確に示す要素が濃くなっている。

付喪神(つくもがみ)という単語が用いられている例のひとつはであるが、この《物語》作品以外に用いられてたという事例は、のちの時代を含めても非常にとぼしい。

烏山奏春『付喪神の日本史』(2023)に詳しい。
『付喪神絵』(15c)-付喪-
『実隆公記』文明17年(1485)9月10日条に記述のみ。
◆上下2巻であったという◆現存未確認
『付喪神絵巻』(16c?)-付喪崇福寺
◆現存では最古のもののようだ。◆祭礼行事の様子は描かれていない
サントリー美術館『お伽草子』(2012)真保亨『妖怪絵巻』(1978)『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』(1999・白黒)
『付喪神草紙』伝・岡田為恭付喪?
◆吉川霊華の旧蔵品
『観方collection』2号(1972・部分)
『付喪神絵』(1666?-)-付喪国会図書館
◆「す-36」◆写本◆奥付に、寛文六年……頼業の表記がある
『付喪神絵詞』(1666?-)-付喪京都大学付属図書館
◆写本、色指定の書入れなどあり◆奥付に、寛文六年……頼業の表記がある
別冊太陽『妖怪絵巻』(2010)
『付喪神絵詞』(1666?-)-付喪日文研
◆写本淡彩◆奥付に、寛文六年……頼業の表記がある
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『付喪神絵巻』(18c)-付喪個人蔵
◆奥付に、寛文六年……頼業の表記がある
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)
『付喪神絵詞』(1848)守純付喪早稲田大学
◆写本、白描◆色指定の書入れなどあり◆祭礼行列あり
早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」
『付喪神記』(17c-18c?)-付喪岩瀬文庫
◆小絵からの写し
岩瀬文庫『絵ものがたりファンタジア』(2007)『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』(1999)
『付喪神記』(?)住吉内記付喪国会図書館
◆「本別7-562」◆写本◆土佐光信筆としている
(付喪神記)(19c?)-付喪國學院大学
◆写本
國學院大學博物館「神仏・異類・人―奈良絵本・絵巻にみる怪異―」(2015-16・企画展示)
『付喪神絵巻』-付喪日本妖怪博物館
◆2巻
湯本豪一『今昔妖怪鑑』(2013)湯本豪一『かわいい妖怪画』(2015、A本)
『付喪神記』-付喪彰考館??
――
土佐 だっちょ 土佐【とさ】

道具などの妖怪が描かれたもの。しかし道具に限ってはおらず獣類や鬼類も多く描かれている。
徳川代には土佐経隆、土佐行秀などが描きはじめたと謂われており、土佐家に伝来するとされることから土佐と分類した

田楽…
途中に田楽を舞う妖怪たちなどがおり、禽獣の妖怪も多く描かれ、「旭」などでおわる。

行列…
矛をもった妖怪などにはじまり唐櫃(からと)、革篭(かわご)などが途中に描かれ、「日」などでおわる。「雲」でおわる場合は、妖怪たちの構成が異なることが多い。

構成による違いから、以上のように大きくふたつに分けることが出来る。

土佐行秀のものとされる絵巻物では行列と田楽が合併されているが、大徳寺真珠庵のものなどは行列のみで終わっており類本も多い。また英一蝶が描いたとされるものもありそこでは登場する道具たちが違うものになっており差異がみられる。
『百鬼夜行絵巻』(13c???)伝・土佐経隆土佐行列-
◆日。◆経隆の真筆であるとは考えられぬので、やはり摸写モトの仮託であろう。
日本名著全集『怪談名作集』(1927)
『百鬼夜行図』(13c???)伝・土佐経隆土佐行列不明
黒川真頼『訂正増補古画備考』に記述のみ。◆現存未確認
『百鬼夜行図』(?)土佐光重土佐行列不明
藤井貞幹『好古小録』に記述のみ。◆現存未確認
百鬼夜行之図伝・藤原信実土佐行列不明
◆通常の行列に見られる妖怪が描かれてるが、通常には見られない杖をつき笠をかけた妖怪が見られる。
『絵画叢誌』(第69、70、74号・1892-93)に複製が部分で載る(縮摸・北村探僊)
「屏風の四角いお顔」(『大佐用』vol.170)、「屏風の四角いお顔 続」(『大佐用』vol.171)
土佐 布からぬっぺっぽう ■■土佐 行秀

背景は「行列」のような無地が多い。構成は「行列」が主体で、途中に「田楽」にみられる妖怪たちが田楽をたのしんでる場面が挟まる形式。
「土佐 田楽」と基本近しいが行列を描くことに注力がみられる点にやや相違がある
百鬼夜行(15c???)原図・土佐行秀土佐『狂画苑』(1770)
◆旭。◆行秀のものは、行列と田楽のものが合併。旭は田楽の系統のものと重なっている。
◆『狂画苑』(1770)は素絢斎による古画題をあつめた絵本。行秀のものから写したと記されている。
◆現在のこされている巻物の中には、この版本の図を参考にして製作されたものも多数存在すると考えられる。
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)
『百鬼夜行図』(18c)土佐光貞土佐仙台市博物館
◆行秀な面々。色彩設計は相当異なる。だっちょが緑色。
『もののけ博覧会』図録(2005)
『百鬼夜行図』(18c)土佐光貞土佐個人蔵
◆行秀な面々。◆だっちょが白い
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)
『百鬼夜行図』(18c)蔭山広迢土佐東京大学総合図書館
◆行秀な面々
『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』(1785、1934)生田久一土佐金比羅宮
◆旭。◆行秀な面々。
◆1785年に行秀の粉本を写したものを、さらに写した作品。
『百鬼夜行』(百鬼夜行図巻)(1862)佐々木泉曄土佐石川県立歴史博物館
◆白描◆行秀な面々。◆泉曄は前田家の絵師・佐々木泉景の門人。
◆行秀→素絢斎→越海漁夫→泉曄という摸写経路。素絢斎とあるのは『狂画苑』のことか。
『石川県立歴史博物館 年報』17号(2017・情報のみ)
百鬼夜行(19c)栄暁?土佐
◆行秀な面々◆※ collection of Mary and Jackson Burke Foundation
『ニューヨーク・バークコレクション展』図録(2005・部分)『Storytelling in Japanese Art』図録(2011・部分・こっちのほうが広い)
『百鬼夜行之図』(18-19c?)-土佐行列東洋大学付属図書館
◆行秀な面々?
『存在の謎に挑む哲学者井上円了』図録(2012・部分)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆旭。◆田楽をしている場面に河童が混在している。
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)湯本豪一『かわいい妖怪画』(2015、C本)
土佐 田楽の高坏 ■■土佐 田楽 

背景を伴う。土佐行秀の写しであるという表記を示しているものが多い
田楽を舞っている様子が大きく描かれる

「行列」に於いての巻末の表現は「日」なのか「陀羅尼」なのか解釈の割れるところであるが、「田楽」の形式においては 最後に描かれるのが明確に「旭」として描かれているのが特徴である。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐田楽京都市立芸術大学
◆旭。◆田楽の場面が登場する種類の絵巻のなかでは最も紹介頻度は高い。
◆写本であるが、原本の破損部などもそれと示して写している
『百鬼夜行絵巻』(1778)-土佐田楽大倉集古館
◆旭なし。あまり巧くない
『百鬼夜行の世界』(2009)
『化もの絵巻』(18-19c?)-土佐田楽徳島県立博物館
◆旭なし。◆もじゃもじゃした顔の仕丁のような3体の妖怪がいる
『徳島県立博物館研究報告』21号(2011)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)青白斉春山土佐田楽日本妖怪博物館
◆旭。◆もじゃもじゃした顔の仕丁のような3体の妖怪がいる
◆行秀のものを写した作であるとの奥書がある・「土佐 行秀」に近く、「土佐 行列」の妖怪も登場する
湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
『怪物図巻』(18-19c?)-土佐田楽-
◆旭。
『妖怪カタログ弐』(2014)
『百鬼夜行絵巻』(19c?)雲渓土佐田楽日本妖怪博物館
◆『付喪神絵巻』に登場する妖怪(高坏など)もまじっている
湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
『百鬼夜行図』(英一蝶)土佐田楽東京富士美術館
◆田楽踊りをしてる妖怪たちとそれを眺めて居る妖怪たちの場面のみ◆掛物に仕立てられている
別冊太陽『幽霊画と冥界』(2018)
土佐 革篭(かわご) ■■土佐 行列

よく知られており、摸本などの本数も非常に多い

矛などを持った妖怪たちなどから展開がはじまり、途中に唐櫃(からと)や革篭(かわご)などの登場するのが特徴と言える。巻末は「日」(「陀羅尼」であるとも考えられている)あるいは「雲」などでおわる。

『百鬼夜行絵巻』と称される場合、20世紀以後はこの分類に該当する構成のものが想起されることが一般的になっている。
しかし、時代が古くなるにつれてどこまで現在認識されているような「行列」の構成が一般に膾炙してたかは不明瞭であり「百鬼夜行絵巻」という呼称も含め注意を要する点は多い。
『百鬼夜行絵巻』(16c)伝・土佐光信土佐行列大徳寺真珠庵
◆日。◆書籍・図録での紹介率は非常に高い
◆重要文化財に指定されている◆「真珠庵」本と通称だけで呼ばれる場合も多い
真保亨『妖怪絵巻』(1978)『日本絵巻大成』25 能恵法師絵詞・福富草紙・百鬼夜行絵巻 (1979)
『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』(1999)『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』-土佐行列岩手県立博物館
◆真珠庵のものとおなじ構成
『岩手県立博物館だより108』(2006・情報のみ)
『百鬼夜行絵巻』(18c)原在中土佐行列大阪市立美術館
◆日に分類できる構成だが日が描かれてない。唐櫃から開始してる◆「摸 土佐光信」
『図説 日本の妖怪』(1990)『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』(1999)
『百鬼夜行図』(1778)原在中土佐行列大倉集古館
◆日。◆屏風(6曲1双)
『百鬼夜行の世界』(2009)
屏風-土佐行列-
◆(2曲1双)
『太陽』(1975年8月号)
『百鬼夜行絵巻』(17-18c?c)狩野方信土佐行列個人蔵
◆日。
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)
『百鬼夜行絵巻』(1791)狩野資信土佐行列-
◆寛政3年写。序文・跋文及び添状付。
東京古典会(2019年11月)
『百鬼夜行』(18c?)英一蝶土佐行列大英博物館
◆日。◆まったくもって通常の構成だが赤い妖怪が真っ黄色など彩色設定にだいぶ違いが見られる。
「変な色の一蝶絵巻」(『大佐用』vol.97)
『百鬼夜行絵巻』-土佐行列国立歴史民俗博物館
◆日。◆砂子がまかれてる
『百鬼夜行絵巻』(1822)鶴洲土佐行列国立歴史民俗博物館
◆日。◆地が薄墨つぶし。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列大楽寺(富山県射水)
◆日。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆日。背景地に青い雲霞状の彩色がある。やや粗雑。
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)
『百鬼夜行絵巻』(19c)狩野芳崖土佐行列大楽寺(富山県射水)
◆日。
『百鬼夜行絵巻』(1688-1707)尾形守房土佐行列福岡市博物館
◆日。
『幽霊・妖怪画大全集』図録(2012)
『百鬼夜行図帖』(1800)雲山土佐行列耕三寺
◆折帖◆少し頭身が高い?
『百鬼夜行絵巻』(18c)-土佐行列-
◆日。地に金。順番は異動している。
『妖怪カタログ弐』(2014)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c)-土佐行列-
◆日。巻末に破損。
『妖怪カタログ弐』(2014)
『百鬼夜行絵巻』(18c)広長土佐行列-
◆伝・土佐経隆とあり。
『妖怪カタログ弐』(2014)
『百鬼夜行絵巻』(19c?)-土佐行列國學院大学
『百鬼夜行図』(19-20c 明治後期)-土佐行列耕三寺
『百鬼夜行絵巻』-土佐行列日文研
◆日。◆淡彩。
国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『土佐光起百鬼夜行之図』玉水土佐行列日文研
◆粉本◆淡彩、色ざし書入あり。
国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『百鬼夜行絵巻』-土佐行列+個人蔵
◆粉本、淡彩。◆日・ラストに節分飾りの家屋戸口と柊の葉にやられ逃げる鬼。
◆一般の構成よりも妖怪は増えている
天草テレビ(2017.1.23)西日本新聞(2017.9.3)いずれも福岡市美術館・中山喜一朗による調査・コメント
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列+日本妖怪博物館
◆色ざし書入あり。一蝶系統のものが混在している。
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列+日本妖怪博物館
下絵、白描。一蝶の系統のものが混在している。
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)◆
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆色が粗い。同じ妖怪を別彩色で出したりも
湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
『百鬼夜行絵巻物』(18c?)-土佐行列東洋大学付属図書館
◆日◆やや草体の図柄。
『化け物の文化誌』図録(2006・部分)『存在の謎に挑む哲学者井上円了』(2012・部分)
『百鬼夜行絵巻粉本』-土佐行列新田文庫
◆粉本◆白描。◆岩松家の殿様の誰かの筆? ◆「日有」の文字のみ
『LINE』群馬大学図書館報 第286号(2002)
『百鬼夜行大絵巻』(1927)岩田専太郎土佐行列-
◆大きな布・唐傘・草鞋・笙・如意・鳥兜・扇の場面、唐櫃の場面の模写。
『少年少女譚海』8巻8号、9号(1927)◆雑誌見開き口絵2回連載?
土佐 邸 杉戸と扇の妖怪 ■■土佐 行列 邸

詞書が冒頭に組み込まれており、古い邸宅が最初の舞台として描かれる。
この演出が古画の時点で存在してたものなのか、絵巻物が描き継がれてゆく過程であたらしく組み込まれたものであるのかは明確になってないが、詞書が挿入されてる部分以外はほとんど通常の「日」の構成と作品としては変わらない。

石燕が知人に見せてもらった土佐系統の作品(『百器徒然袋』のモト)には邸が登場してた可能性が高いので、この系統との関係性が解明されることも望まれる。
『百鬼夜行絵巻』(17-18c?)土佐行列国会図書館
◆日◆詞入◆邸からはじまる。
◆「正和五年六月一日以内蔵寮粉本三日之間写」とあり、原典は土佐経隆に仮託されてる様子。
『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』(19c)岡田為恭土佐行列紐育公共図書館
◆日◆詞入◆邸からはじまる。
◆Spencer no.112
『Tale of Japan』図録(1986)部分、辻英子『日本絵巻物抄』(2002)
土佐 雲 ■■土佐 行列 雲

日のようなものが出たあとに黒い雲がもくもくと出現して巻末にいたる構成になっているもの。

この「雲」も「日」と同様に何を示してるものなのかの詳細は、明確な絵巻物のなかでの文字言及や伝承もなく、不明な点が多い。
『百鬼ノ図』(17c?)伝・土佐吉光土佐行列日文研
◆雲。◆全巻にわたりシミあり。巻末に雲が拡がっておわる型のもの。
別冊太陽『妖怪絵巻』(2010)国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『百鬼夜行図』(18-19c?)-土佐行列東京国立博物館
◆日と雲。◆淡彩◆雲の出る形式では最も紹介が膾炙されてきたもの。
真保亨『妖怪絵巻』(1978)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列國學院大学
◆雲。
◆書き添えがあり「水さしのばけもの」「とびのへんげ」「にょいとびまはる」など生物・道具名など全てに見られる。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列国立歴史民俗博物館
◆日と雲。
『百鬼夜行』(18-19c?)板谷桂意広長(板谷広長)土佐行列大英博物館
◆日と雲。網目が描き込まれていてつづらとわかる。
◆巻末の署名落款(藤原広長筆)の右に「以古図」と記されている。◆「広春の百鬼夜行絵巻」(『大佐用』vo.189)
『百鬼夜行』(1860ころ)板谷桂意広春(板谷広春)土佐行列新南威爾士州立美術館
◆日と雲。
◆巻末の署名落款(板谷広春画)の右に「春日行秀図」と記されている。◆「広春の百鬼夜行絵巻」(『大佐用』vo.189)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列兵庫県立歴史博物館
◆日と雲。
『百鬼夜行図巻』-土佐行列くもん子ども研究所
◆日のものと雲のものの合併。摸本。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列兵庫県立歴史博物館
◆日と雲。
『百鬼夜行絵巻』(19c?)-土佐行列-
◆日と雲◆淡彩◆革篭の鋏が茶色、天蓋の屋根が水色
『妖怪カタログ』(2008)
『百鬼夜行絵巻』(18c)-土佐行列-
◆日と雲◆淡彩◆革篭の鋏が桃色、天蓋の屋根が墨色
『妖怪カタログ弐』(2014)
『万鬼国図』(19c)住吉弘貫土佐行列仏蘭西国立図書館
◆日と雲。
『百鬼夜行絵巻』(19c?)-土佐行列-
◆日が金彩色。革篭が淡桃色。
『妖怪カタログ』(2008)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆雲(しりきれとんぼ状態の構成か)◆日と雲のそれぞれの妖怪の混在で構成されている。
◆鳥兜の尾が異常に発達している。琵琶や払子は体がなくリデザインされている。
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)◆
土佐 一蝶 薬研 ■■土佐 行列 一蝶

英一蝶によって描かれたもの、と謂われてる絵巻物に多く見られる形式。
「行列」に見られる妖怪たちが基本だが、薬研(やげん)や白朮(びゃくじゅつ)などの薬たち、農機具などが新しく加えられているのが特徴で、「狩野 景色」のように個々に背景が添えられてる例もある。
『百鬼夜行画』伝・英一蝶土佐行列物部神社
◆景色が多く添えられてる
『怪』第14号(2003)
『百器夜行絵巻』英一蝶?土佐行列兵庫県立歴史博物館
『百鬼夜行の世界』(2009)
『百器夜行絵巻』-土佐行列国立歴史民俗博物館
◆日。
『妖怪見聞』図録(2011)
『百奇群会之図』(17-18c?)-土佐行列+-
◆土佐の行列にみられるものに一蝶や狩野の絵巻に出て来るものが添加されている。
◆見越入道、うわん、幽霊、猫股、野狐など◆らむね味だっちょ
『妖怪カタログ弐』(2014)
(百鬼夜行)(18c)狩野義信土佐行列+
◆一蝶のもの(箕、鐙)などが入ってる。
◆岩だらけの島から日がのぼっている、と英文商品カタログにはある。部分写真には最後尾がすこしだけ写っており、波と雲状に消えてゆくらしい妖怪群がすこしだけ確認される
土佐 最強ふらり火 ■■土佐 行列 最強ふらり火(狩野との混成)

巻末のあたりに狩野の絵巻物で「ふらり火」として描かれる画像妖怪が描かれてる形式のもの。「最強ふらり火」は御田鍬;命名呼称。
『百鬼夜行図』(18c)狩野洞雲土佐行列国立歴史民俗博物館
◆日、最強ふらり火。◆巻頭に題詩がつけられてる。
『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆最強ふらり火。
湯本豪一『百鬼夜行絵巻』(2005)『今昔妖怪大鑑』(2013・部分)
■■土佐 行列 そのほか

粉本そのままではなく意識的にデザインが改良されてたりするもの、または完全に粉本用として描かれた完成作品以前のものなどを中心に。
『百鬼夜行図巻』(18c)狩野乗信土佐行列長野市(松代藩)
◆朝鶏。◆新規デザイン+リデザイン。
湯本豪一『百鬼夜行絵巻』(2005)
(付喪神画幅)(19c)米仙?土佐行列-
◆小さい一幅。乗信のものあるいは同系統のものを参考にしたと見られる。
『妖怪カタログ 弐』(2014)
『変化絵巻』(18-19c?)伝・狩野元信土佐行列個人蔵
『大水木展』図録(野菜の妖怪の写真はこちらのみ)、『怪』第18号(2005)
『妖怪絵巻』-土佐行列日文研
◆日◆リデザイン。目玉がふえていたり、くどかったりする
国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆行列+新規デザイン+狩野(ぬっぺっほふ)
◆雀の精(?)ではじまる◆農耕をしている妖怪たちが冒頭にいる◆皿や徳利などの妖怪もいる
湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
『法具妖変之図』(18c)白隠土佐行列金台寺
◆リデザイン。
『絵巻物―アニメの源流』(1999)
『滑稽百鬼夜行図巻』(1900)山本光一土佐行列日文研
◆新規デザイン+リデザイン。
『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』(19c?)狩野延信土佐行列-
◆日◆「鳥羽僧正」のものと仮託。
『妖怪カタログ』(2008)
『土佐百鬼夜行之図』(1886)美信土佐行列個人蔵
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列京都文化博物館
◆日◆道具名の書入あり。
『妖怪見聞』図録(2011)
『百器夜行図』(1829)狩野養信土佐行列東京国立博物館
◆粉本◆道具、色ざし書入あり
『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』(1999)『百鬼夜行の世界』(2009)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列京都文化博物館
◆粉本◆淡彩、色ざし書入あり。
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)原・土佐光起土佐行列日文研
◆粉本◆淡彩、色ざし書入あり。
国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆粉本◆淡彩、色ざし書入あり。
湯本豪一『百鬼夜行絵巻』(2005・部分)
『百鬼夜行絵巻』(19-20c?)-土佐行列-
◆粉本。
「京都古書組合総合目録」(2011)
百鬼夜行絵巻下絵(18-19c?)-土佐行列日本妖怪博物館
◆粉本◆白描。
湯本豪一『百鬼夜行絵巻』(2005・部分)
『百鬼夜行絵巻』(18-19c?)-土佐行列
◆ところどころ無彩色。
「平成26年度古典籍展観大入札会」(2014・部分)
『百鬼夜行絵巻』(1854)-土佐行列日本妖怪博物館
◆巻末が弓をもった人間。
「平成26年度古典籍展観大入札会」(2014)-部分。湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
■■土佐 発達したもの
百鬼夜行図(20c)吉川霊華土佐個人蔵
◆軸1幅。淡彩。
『もののけ博覧会』図録(2005)
付喪神図(18c)伊藤若冲土佐福岡市博物館
◆KANPOO◆「付喪神」の呼称は吉川観方によるもの?
◆描かれてる妖怪の中に土佐の絵巻にいる妖怪いる。行列と田楽のものが合併。
百鬼夜行図(19c)河鍋暁斎土佐-
◆「土佐大蔵少輔藤原行光画」と書入がある
◆絵巻物にあるものを縦の軸物の本画に再構成したもの。如意などは眼鏡をかけたりするなどリデザインがある。
『仕掛けの絵師 鬼才 河鍋暁斎』図録(2010)
百鬼夜行図屏風河鍋暁斎行列個人蔵
◆日◆福富太郎コレクション
『百鬼夜行図』(1918)武村土佐行列菲爾徳自然史博物館
◆日◆リデザイン。景色などが多く入っている。◆牛車ぶっこわしたりしてる
◆Boone collection
『百鬼夜行絵巻』(19-20c)塩川文麟行列個人蔵?/日本妖怪博物館
◆リデザイン? 茶道具が多い◆『今昔妖怪大鑑』(2013)にも似た図が載る。これは本画ではなく下絵か。
『文麟翁三十三回忌記念遺墨展覧会画集』(1910・部分)
『煎茶器百鬼夜行図』-土佐行列耕三寺
◆リデザイン? 茶道具が多い
『抹茶器百鬼夜行図』-土佐行列耕三寺
◆リデザイン? 茶道具が多い
『茶器夜行絵巻』(19c?)椿岳(淡島椿岳か)土佐行列-
茶道具を画像妖怪化して描いたもの。似た趣向であるが文麟とは構成は異なる。キャラは大きめ。
東京古典会2019年11月。
異形加茂祭図巻(19c)田中訥言行列出光美術館
◆部分に土佐の影響あり?
別冊太陽『日本の妖怪』(1987)
――
狩野 うわん 狩野【かのう】

妖怪の絵とその呼び名とが並べられた形式の絵巻物。徳川代には狩野元信が描きはじめたと謂われており、狩野家に伝来するとされることから狩野と分類した。

『嬉遊笑覧』に記述のみられる構成のものを仮に標準型とみて「狩野」、そこにみられない妖怪が増量してる構成のものを「狩野+」とした。

仮に「狩野+」としたが、『嬉遊笑覧』の構成が初期段階のものであるのか、増減が進んだ結果の一例でしかないのかはハッキリしない。
化物絵狩野元信狩野-
◆絵はないが『嬉遊笑覧』に記述があり、当時存在した妖怪絵巻物の構成についてうかがうことが可能。
狩野家の化物絵まとめもあわせて参照。
百化物の画巻狩野探幽狩野-
◆柳田國男「河童駒引」(『増補山島民譚集』)に「ひゃうすへ」が載っているとして『南蘭草』より引く。画像無し、情報のみ。
◆(廣田龍平さんより)池田定常『南蘭草』には「探幽」「百怪物といふ軸」とあるとのこと。
『百怪図巻』(1737)佐脇嵩之狩野福岡市博物館
◆「百怪」とも「妖怪」とも。◆KANPOO
◆吉川観方の紹介により、古い妖怪絵巻物として知られた。◆実質、全貌と位置づけが周知されたのは2000年以後。
『妖怪図巻』(2000)『幽霊・妖怪画大全集』図録(2012)
『妖怪図巻』(1744)-狩野徳川記念財団
◆おとろしなど
『徳川将軍家展』(2003・部分)
『百鬼絵巻』(1764)龍斎遊梢狩野-
◆髪切に白い斑点がエキサイティング。なきびす
三井記念美術館『大妖怪展』(2013)『妖怪カタログ』(2008)
『化物づくし』鳥羽僧正??狩野個人蔵
◆「鳥羽僧正真筆」と奥書にあるがそうとは考えられない。
『妖怪図巻』(2000)
『化物絵巻』(19c?)-狩野川崎市市民ミュージアム
◆色ざし書入も見られる
『妖怪図巻』(2000)
『百怪図巻』(18-19c?)-狩野-
『妖怪カタログ』(2008)◆
『百怪図巻』(18-19c?)-狩野-
◆わうわうと野狐のみ。
『妖怪カタログ』(2008)
『化物画(化物尽)』(1788)星野狩野維也納国立民族学博物館
◆「探幽写」とある。◆『Bakemonojin』という題名で紹介されている。
◆未確認→解決。バケモノジンという絵巻物(『大佐用』vol.93)バケモノジンという絵巻物拾遺(『大佐用』vol.94)
須山計一『漫画博物誌』(1972・情報のみ)Juliet Piggott『Japanese Mythology』(1969・部分、白黒)
『在外日本重要絵巻集成』研究編(2011・白黒だが全図収録)
『化物絵巻』(18-19c?)-狩野+(藤澤衛彦)
◆「ねこまた」や「あすこここ」と同種のものなどが確認されるが名前は添えられてないようである。
◆図版で使用されている以外では用いられてない。◆絵巻物全体および現在の所蔵状況は不詳。
藤澤衛彦『妖怪画談全集』日本篇上(部分)
『化物之絵』狩野+楊百翰大学
◆海坊主、ぬりかべ◆ぬりかべが確認される一巻。
◆Harry F. Bruning Collection、森永太一郎からヘンリーに贈られた絵巻物だという。
『化物づくし絵巻』(1802)狩野由信狩野+日本妖怪博物館
◆海坊主、ぬりかべ◆妖怪たちの呼び名が添えられてない写本。
◆狩野由信『化物尽絵巻』と同じ系統のもの。
『怪』24号(2008)湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013・部分)
『百鬼夜行絵巻』(17c?)(鳥羽僧正)狩野+(米新)
林若樹「妖怪画巻に就て」(1907)に記述があるのみで図版は残ってない。
◆なきびす・ゆめのせいれい、海坊主、海男なども見られものだったらしい。◆ぬりかべは見られない。
奥書に「鳥羽僧正」の絵として北野天神の宝物として伝わったなどの文言があった。若樹の文に収録。
集古会に市河萬庵が出品した絵巻物。持主は鎌倉の米新。天和ごろのものとされるが不詳。
こぐろう『明治の讀賣新聞における「化物会」の活動について』(2017)
『化物尽絵巻』(18-19c?)北斎季親狩野+日文研
◆親白眼
三井記念美術館『大妖怪展』(2013))国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」
『百物語化絵絵巻』(1780)方郁狩野+日本妖怪博物館
◆白うかり、ちからここ、ひょんな
湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)『かわいい妖怪画』(2015) いずれも部分
『百鬼夜行絵巻』(1832)尾田郷澄狩野+松井文庫
◆白うかり、黄粉坊、あすこここ
◆妖怪絵巻物の例として1980年代から雑誌などを通じて広く知られるようになった代表格であった。
別冊太陽『日本の妖怪』(1987)『武家の精華 八代松井家の美術工芸』(2002)
『化物絵巻』(18-19c?)-狩野+国立歴史民俗博物館
◆「大化」の名がある唯一のもの。
『化物づくし帖』(19c?)-狩野+日本妖怪博物館
◆冊子。◆白うかりなど。◆夜這蜘が描かれており春英『異魔話武可誌』との参照関連がうかがえる。
湯本豪一『妖怪あつめ』(2002)
『百鬼夜行絵巻』2世喜多川歌麿?狩野+大吉寺
◆「かすくらい」などもおり「狩野+」に該当するものが手本となってると知れる。
『太陽』(1995年9月号)に火車、『太陽』(1975年8月号)に火車とぬけ首がカラー写真で載る。
The Procession of Ghosts(1918)蕪雪狩野+-
◆リチャード・ゴードン・スミス『Ancient tales and folklore of Japan』(1918)の挿絵のひとつ。
この系統の構成に描かれる画像妖怪たちが多数描き込まれてる。
Richard Gordon Smiith『Ancient tales and folklore of Japan』(1968)
『百鬼夜行図巻』(18-19c?)-狩野+長野市(松代藩)
◆『山海経』が合併。『山海経』部分には景色。
『あの世・妖怪 信州異界万華鏡』図録(2003)
『化物づくし』(18-19c?)-狩野+日本妖怪博物館
◆湯本C本◆リデザインがち
◆おそふ、とうびょう、白ちご などは2022年時点まで、この絵巻物のみで確認されてた。
『続妖怪図巻』(2006)湯本豪一『かわいい妖怪画』(2015)
『光琳百鬼図』(18-19c?)宇隆狩野+-
◆おそふ、とうびょう、白ちご など湯本C本と同じものが確認出来る例。複数の摸写例があることがわかった。
奥書には「光琳百鬼図」を写したものであるとのことが記載されてる。
『思文閣古書資料目録』276号(2022)
狩野 にくらし ■■狩野 王摩

デザインに相関性がうかがえる一群。「蓮っ耳」や「幣束」が見られるのがその例。
魔王、悪魔や鬼神などについての語彙に由来する名称が見られたりもする。「王摩」というのもそこに由来しているものと言えるようである。

狩野の通常の妖怪たちが同時に描かれることはほとんどないようである。よって、現状は「狩野」の中に格納してるが将来的に出自が明らかになれば別分類とすることも考えられる。しかし、大きな形式としてみれば狩野の影響そのままの構成でもある。
『妖魅四十九有態』(19c?)-狩野王摩加賀文庫
◆王摩
外題簽には「妖魅四十有九態」とある。「妖魅四十九有態」は日比谷図書館『加賀文庫目録』での登録名。
◆「王摩な絵巻物群」(『大佐用』vol.7)、「魔王な妖怪」(『大佐用』vol.249)
『百妖図』(19c?)-狩野王摩-
◆王摩◆ひょうたんこ
「おうま」が「王魔」と表記されてる。
『妖怪カタログ弐』(2014)江戸東京博物館 「大妖怪展」図録(2016)『怪』第32号(2011)
『化け物尽くし』(19c?)-狩野王摩明尼亜波利斯美術館
◆王摩 王摩にも魔物たちのように涌雲がある。他2例には無し。
◆2巻構成。収録されている妖怪にはある程度の差分がある。「王摩系統な絵巻物の比較表
1巻めは狩野の一般的なものが多く『百妖図』とも重なりが深い。
しかし、生鬼羅・一眼・山姥など『百妖図』には見られない例が確認出来る。
2巻めのほうは『妖魅四十九有態』に非常に近い。『百鬼異形之図』に出て来る例とも関わりが大きく、前後考察に必要。
◆「精呂魔のいる絵巻物まとめ」(『大佐用』vol.264)、「精呂魔のいる絵巻物まとめ2」(『大佐用』vol.265)
◆版本(『百鬼夜講化物語』)からの妖怪が入っており、ここは摸写者によって後で足されたものかとも推定出来る。
『Japanese Yokai and Other Supernatural Beings』(2023)「転化」と「眷属」が未収録。
『百鬼異形之図』(1854)-狩野王摩大英博物館
◆魔王などおなじかたちのものが画題として採られているが、少し構成の系統は異なる。
◆王摩は見られない。鬼の御所などが見られる。
「魔王な妖怪」(『大佐用』vol.249)
『百鬼異形絵巻』(19c?)-狩野王摩日本妖怪博物館
◆「百鬼異形之図」と内題にある。『百鬼異形之図』とおなじものだが錯簡がある。
湯本豪一『古今妖怪累累』(2017)
「魔王な妖怪」(『大佐用』vol.249)
『怪物図巻』(18c?)宮川春水狩野王摩東洋大学付属図書館
◆尻目、糸坊、面白、びっしゃり
「蓮っ耳とは」(『大佐用』vol.45)
『存在の謎に挑む哲学者井上円了』(2012)『井上円了 「哲学する心」の軌跡とこれから 』(2019)
『化物づくし絵』(19c?)-狩野王摩個人蔵
◆朱のばん、とべら坊
『怪』第32号(2011)
『化物づくし』(19c?)-狩野王摩日本妖怪博物館
◆湯本A本◆為何歟(なんじゃか)などが描かれてる。
◆宮川春水『怪物図巻』と似たかたちのものが多いがすがたや呼び名が全く異なる妖怪として描かれている。
『続妖怪図巻』(2006)湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)
狩野 パノラマ 河童 ■■狩野 景色

屋外屋内など風景の中にパノラマ配置する形式
妖怪の呼び名が添えられることは無いようである。感覚は「土佐 田楽」などに近いが、比較するとひとつひとつの妖怪は場面が切り離されている傾向が強い。
『化物絵巻』(17c)狩野宗信狩野景色九州国立博物館
◆狩野のパノラマものとしては古い残存例。◆妖怪の名は添えられていない。
『ぞくぞくぞぞぞ』(2007)
『百鬼夜行図巻』(18c)狩野宴信狩野景色日本妖怪博物館
◆景色は全てにはついていない。 湯本豪一『百鬼夜行絵巻』(2005)『今昔妖怪大鑑』(2013)『かわいい妖怪画』(2015)
『百鬼夜行図巻』(18c)鳥山石燕狩野景色波士頓美術館
◆絵は『画図百鬼夜行』に近く狩野な妖怪のデザインでは無い。
◆鳥山石燕の本来の描写などがうかがえる一本。◆「夜明け」に同様な図でおわるため、日か。
『続・妖怪図巻』(2006)別冊太陽『妖怪絵巻』(2010)
狩野 詞入 バイオひょうすべ ■■狩野 詞入

狩野家の妖怪絵巻物に描かれてる画像妖怪たちが用いられてるが、それがどこの国に出た、見られたなどの情報が詞書として書かれてる諸国物語な形式でまとめられているもの。絵と詞の結びつけの関係性がどこまで一致したものなのかについては詳しくわからない。

狩野の作品のように九州北部に複数例が散在していた可能性がたかまって来ている。
『化物尽くし絵巻』(18-19c)狩野詞入福岡県立美術館寄託
『図説妖怪画の系譜』(2009)部分◆狩野の絵巻に出て来るデザインが多数出ている
ししこり(おとろし)牛かわず(わいら)へらほう(ぬっぺほふ)など、
付けられている名称や出現についての話の内容については実非不詳、類本未確認
『諸国妖怪図巻』(19c)金子荊山・長岡多門狩野詞入日文研
◆狩野デザインのものを踏襲してる絵がある。◆「各地伝説妖怪絵巻」という題も添えられている。
◆失われてる部分がある。◆複数回描かれている妖怪もあるため、完全作品ではない雰囲気の1巻。
◆「バイオひょうすべ」の絵巻。
◆「ししこり」の絵巻や「虎にゃあにゃあ」の絵巻と内容面で重なっている部分もある。
『怪と幽』3号(2019)国際日本文化研究センター「絵巻物データベース」(2020)
『怪奇談絵詞』(19c)-狩野詞入福岡市博物館
◆狩野デザインのものを踏襲してる絵がある。◆虎にゃあにゃあ
湯本豪一『妖怪百物語絵巻』(2003)
■■そのほか

分類がまだ未確定のものや別個な構成のもの、土佐・狩野の要素を合併させて再構成したもの、版本の妖怪を描いたものなど。雑然としてるが今後さらに絵巻物があつまるにしたがって位置がわかるものもあると言える。
『妖怪絵巻』(18-19c?)-狩野+東洋大学付属図書館
◆おかんじょろ◆版本を典拠とした春英、石燕デザインがある。「バイオ牛鬼」の絵巻
◆御田鍬;は、画者は複数いるのではないかと考察している。
『妖怪見聞』図録(2011)、『存在の謎に挑む哲学者井上円了』(2012)
(書名不詳)--不明
◆写本◆北田紫水文庫の旧蔵、現在は不明。◆ぬっべっほうの正体(『大佐用』vol.53)にて考察。
◆石燕『画図百鬼夜行』あるいは狩野系統の写しのようだがごく短い解説がある。「狩野 詞入」の系統に近い存在か。
講座日本風俗史『妖異風俗』(1956)
『百鬼夜行之図』(19-20c?)-行列岩瀬文庫
狩野・土佐の諸系統とはまったく別のもの。仏神(まりしてん?)のようなものが争っている様も描かれている。
『続妖怪図巻』(2006)
不明(19-20c?)-行列不明
古物店のカタログにあった岩瀬文庫『百鬼夜行之図』とほぼ同じ妖怪が描かれている絵巻物。
鳥山石燕の肉筆絵巻に登場する妖怪と同様のものも描かれており『続妖怪図巻』との関連も疑われる。
2018年、高台寺の百鬼夜行絵巻の展示で出展されていることが確認されている。
『百鬼徒然袋』(19-20c?)--国立歴史民俗博物館
◆肉筆。石燕のリデザインなど。
「妖怪絵巻」(18-19c?)--能持院(羽後町)
◆肉筆。石燕からのリデザインもある
秋田県立博物館・特別展「妖怪博覧会〜秋田にモノノケ大集合〜」(2017)
妖怪絵巻(1796? or 1856?)三顧-国立歴史民俗博物館
◆石燕の写し。
『特別展 江戸の妖怪展』図録(2012)
『化物づくし』(18-19c?)--日本妖怪博物館
◆湯本B本◆豊国や石燕など版本からの写し。
『続妖怪図巻』(2006)
『雪堂鬼画』(20c)--耕三寺
◆大正〜昭和期に描かれた作品であるとされている。
『百鬼夜行之図』(-1872)河鍋暁斎狩野・合併芝加哥美術館
◆土佐と狩野の合併。狩野のような配列。◆梵鐘・ぬっぺセット
『暁斎』96号(2008・白黒)
『暁斎百鬼画談』(1889)河鍋暁斎行列
◆土佐と狩野の合併。
『百鬼夜行図』-行列河鍋暁斎記念美術館
◆絵巻物。◆『暁斎百鬼画談』と似た面々だがいないものも。
『百鬼夜行図』(19c)-行列耕三寺
◆絵巻物。絹本。◆『暁斎百鬼画談』を写して描いたもの。本人の手では無い。
百鬼夜行絵巻河鍋暁斎?行列個人蔵
◆暁斎の絵として紹介されてる◆呉春の画幅と同じデザインがいる
現代語訳日本の古典『雨月物語・春雨物語』(1980)
化け物絵巻(19c?)河鍋暁斎??-Israel Goldman
◆新規デザイン。無署名。◆あまり暁斎の筆致では無い◆題詞あり。他に見られるような妖怪たちではない。
『暁斎の戯画・狂画』図録(1996)
『百鬼夜行図』(1890年代ころ)菊地愛山-栃木県立博物館
◆横長◆暁斎の絵本類にある百鬼夜行の図柄からのリデザインも見られる。
◆横に並んでいるが通常の土佐・狩野の行列とはまた少し違う◆愛山は栃木県宇都宮の画家。狩野に学ぶ。
『水木しげると日本の妖怪』(1993)板橋区立美術館『近世博物学事始 江戸のもの尽くし』図録(1987・白黒)
『異類異形編』(1779)牧野忠精-耕三寺
◆忠精は長岡の藩主。自身で考案した?妖怪を描きつらねた巻物。紙本着色。
◆呼び名は付与しなかったようで「第○○」と数字が付されている。103体描かれてるが数字つきは71まで
2019年の耕三寺の展示(6.8〜9.8)
『百物語化物図』(19c)松浦静山-松浦史料博物館
◆静山は平戸の藩主。妖怪を描きつらねた巻物。紙本着色。
◆各自に呼び名は付与されていない。
『ヒラドローン』(2017)というドローン映像を用いた地域企画Webページで部分的に図版が用いられている。
■■そのほか 絵双六

土佐や狩野の絵巻物に見られる画像妖怪を絵双六に描いてる例。
『十界双六』(17c)-狩野国会図書館など
◆とび双六。◆狩野系統の妖怪が多く描かれている。「海坊主」もいる
『なんけんけれどもばけ物双六』(1731)-合併東京国立博物館など
◆まわり双六。江戸の井筒屋が版元。◆土佐行列複数と狩野の合併。
双六のすすむ枠ごとにつづいてゆく文句様のものがついている。絵巻物と不一致も多く妖怪の名称であるかは不詳。
語意不明のものもあり、しりとり文句双六などのように一連につながって意味をなすものか?
■■そのほか 錦絵

土佐や狩野の絵巻物に見られる画像妖怪を錦絵に描いてる例。
後鳥羽天皇の夢(1865)秀斎行列
◆6枚つづき錦絵。◆江戸の大金が版元。◆土佐行列・田楽のものが多く含まれる
藤澤衛彦『図説日本民俗学全集』妖怪(部分)『図説日本の妖怪』(1990)湯本豪一『今昔妖怪大鑑』(2013)
『滑稽倭日史記』(1895)落合芳幾行列
◆9枚つづき錦絵。◆東京の滑稽堂が版元。◆上半分が「新案百鬼夜行」、土佐行列がモト
◆日清戦争をモチーフにしており大砲や清国兵などが題材としてデザイン中に融合されている

大英博物館……British museum
紐育(ニューヨーク)公共図書館……New York Public Library
楊百翰(ブリガム・ヤング)大学……Brigham Young University
芝加哥(シカゴ)美術館……The Art Institute of Chicago
菲爾徳(フィールド)自然史博物館……Field Museum of Natural History
維也納(ウィーン)国立民族学博物館……National Museum of Ethnology of Vienna
波士頓(ボストン)美術館……Museum of Fine Arts, Boston
仏蘭西(フランス)国立図書館…Bibliotheque nationale de France
新南威爾士(ニューサウスウェールズ)州立美術館…Art Gallery of New South Wales
明尼亜波利斯(ミネアポリス)美術館…Minneapolis Institute of Art