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ふらりび

鳥山石燕百石乳|画図百鬼夜行

ふらりび

ふらり火

「ふらりび」は、呼び名のみが絵に添えられています。

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■狩野系統絵巻にいる火の妖怪

「ふらりび」は狩野家で描かれて来た妖怪絵巻物に見られる画像妖怪で、石燕はそのデザインを用いて描いています。火に包まれた怪鳥のようなすがたは、絵巻物でのものほぼそのままで、長い首のかたちや、獣の耳のようになっている頭部の左右にある特徴あるかたちも踏襲されています。

狩野系統の絵巻物でも「ふらり火」という呼び名や用字が安定して用いられているようです。

■なぜか唐風にばせをの葉

絵巻物ではデザインのみで背景が添えられていない例がほとんどですが、石燕は「絵」にするにあたって大道具を画面の下のほうに持ち込んでいます。描き込まれているのは額のある屋根つきの門と、芭蕉[ばしょう]の木たちで、どことなく唐風な雰囲気を醸し出しています。

芭蕉の木などが画面の下のほうにあるのは、「ふらりび」に鳥の要素があることから、高い位置を飛ばせているからな処置なのですが、実際に「ふらりび」がどういう飛び方を想定して描き継がれて来てたものなのかはハッキリしないので、石燕の独創的な絵づくりである可能性も高い飛ばせ方ではあります。

▼ふらり火
「ふらりび」は、見ひらきにいっしょに描かれている「つるべび」とは火の妖怪同士の一対になっています。

こちらは絵巻物にしか見られない画像妖怪なので特に情報はありませんが、ぶらぶら下にさがって来る「つるべび」と、ふらふら上を飛んでいる「ふらりび」は音としても好い組み合わせではあります。

そうげんび」は僧侶の「頭」そのものが火のなかにあるかたち、「つるべび」は火の玉に目・鼻・口があるというかたち、そして「ふらりび」では怪鳥の全身が火のなかにいるというかたちで、デザインの組み立て方の異なる「火の妖怪の絵」をつらねていることも、構成としてよくわかります。


up.2026.06.12

■ふらり火




▼芭蕉…芭蕉・棕櫚・蘇鉄などは寺院に植えられたり、異国情緒を出すために絵画の背景に描かれることも多いぞ。銭選『筆耕園』にある「芭蕉唐子図」などが鑑賞されていたように、唐風のものと芭蕉の組み合わせは古くからあるものぢゃ